ロープエンドをループ状に加工してカラビナ等を掛けるアタッチメントポイント (アイ=eye) を作る技術の事です。
スプライシングの優れた点は、ロープ本来の持つ強度をあまり落とさずに作れる事です。
過去のODSKスプライシング講座で破断荷重24kNのクライミングロープの片側を受講生の作ったスプライス、もう片側をフィギュアエイトノットにして引っ張ったところ、試験ロープ5本全てにおいてノット側が約15kNで破断しました。
ロープは曲げが強いほど強度は低下します。
スプライスはノットに比べるとロープをきつく曲げる部分がないので強度が保てる訳です。
また、スプライスはノットに比べアタッチメントポイントがかなりコンパクトな点も優れています。
DdRTのワーキングエンドにスプライスが使われる大きな理由です。
各ロープメーカーでは、独自のスプライシングをした使いやすいロープを製造していますが、ロープ使用者が自分でスプライシングできれば、自分の仕事に合った道具を作ったり傷んだロープエンドを作り直す事が簡単にできるようになります。
ただし、どんなロープもスプライシングできるわけではありません。
スプライシング可能なものは、昔から使われている3つ縒りロープ (3ストランド)、ダブルブレイド、16ストランド、ホローブレイド (12ストランド) で、それぞれ加工方法が違います。
また材質も一般的に使われるナイロン・ポリエステル(クラス1)と、より強度があるダイニーマ・テクノーラ・ヴェクトラン等の新素材(クラス2)でも加工方法が違います。
このようにスプライシングを学べば、自分の命を預ける ”ロープ” についてより深く理解できるようにもなるのです。